BfMcompany★ドイツで活躍する日本人音楽家紹介

ドイツ音楽留学をお考えの方必見!現在活躍されるプロの音楽家がご自身のドイツ音楽留学体験や留学生後進へのメッセージetc.を愛情たっぷり語ってくださっています★

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第九回目 升島唯博さん

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<プロフィール>
広島のエリザベト音楽大学にて声楽を小野村和弘教授(バリトン)に師事。在学中、クラシックギターを佐藤紀雄氏に師事。大学卒業後渡独。ドイツ・ノルトライン・ヴェストファーレン州、デトモルト音楽大学ミュンスター校にて、ウタ・シュプレッケルゼン教授(ソプラノ)のもと、声楽教育科過程を修了。その後、広島中村音楽奨学金を得て、同じくドイツ・シュレスヴィッヒ・ホルシュタイン州、リューベック音楽大学にて、フランツ=ヨーゼフ・アインハウス教授(バリトン)のもと、舞台演奏学科過程を修了、同大学院オペラコースを最高得点で修了。その後ブレーメン歌劇場オペラアカデミーにおいてシュピール・テノール(テノール・ブッフォ)として契約を結ぶ。その後、フリーのオペラ歌手として各地のオペラ劇場に客演で歌っている。オランダ・オイレギオ国際声楽コンクール優勝。

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升島唯博のホームページはここをクリック!
特に升島さん自身の留学エピソードを綴る「ドイツ音楽留学回想記」はかなり面白い!!


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きらきーら升島唯博さんにインタビューきらきーら

渡独8年目。決して短い道のりではなかった・・・
ようやく今プロのテノール歌手となり、新たな目標へ歩みを進める。
そんな升島唯博さんの最新インタビューです。どうぞお楽しみください! 

田中: 升島さんはどうして留学先にドイツを選ばれたのですか?

升島: 日本の大学で師事した先生がドイツと関係のある先生だったからというのと、ドイツリートが好きだったという理由です。また、ドイツ・ミュンスター音楽大学の先生による講習会を受けたことも、留学先にドイツを選ぶきっかけとなりました。

田中: 初のドイツ留学でミュンスター音楽大学に入学されたとの事ですが、思い出に残るエピソードはありますか?

升島: まず、ほとんどの留学生が感じるように言葉は大変だったのですが、僕の学生時代にはまだミュンスター音楽大学には声楽専門の学科がなく、声楽教育学科の生徒として入学したので、教育学、心理学など、実技科目以外の専門分野も学ばなければならなかったことにより、語学の面では非常に鍛えられた思い出があります。これが後々自分の為になったのですが、それでも卒業論文には苦しめられました(笑)

田中: ミュンスター音楽大学ご卒業後、リューベック音楽大学でも学ばれたとのことですが、日本の音楽大学にはなくドイツの音楽大学の授業にある特別な授業はありますか?

升島: 日本にもない訳ではないのですが、やはりコレペティトゥアの授業ですね。簡単に言うと伴奏者に歌のレッスンを受けるものです。日本でもレッスンやコンクールなど伴奏者を連れて行きますが、その伴奏者は大抵ピアノ科の生徒かピアノ奏者だと思うんです。でもドイツではただの伴奏者ではなくコレペティトゥアという職業を持つ専門の人が伴奏を務めます。彼らは楽曲のことから発声に至るまで専門に勉強していますので、もちろん言葉でも専門的なアドバイスをしてもらえ、コレペティトゥア自ら歌いながらピアノを弾き楽曲の説明もし、尚且つ僕らが音楽に入り込めるというのはすごいことだと思います。また、声楽だけでなく、管楽器、弦楽器専門のコレペティトゥアが存在します。

田中: コレペティトゥアの授業を受けたことで、どのような変化がありましたか?

升島: 自分の音楽が音楽的になったと思います。音楽がより深く理解出来るようになったというのでしょうか。日本の授業では、「自分の歌で相手(ピアノ)を引っ張って歌っていきなさい」との教えもあって、自分の音だけを聴き自分のやりたいように歌う傾向がありましたが、伴奏者が音楽を理解している場合ではむしろ競合して音楽を練り上げていくようになりました。

田中: コレペティや劇場の合唱団員など、ドイツではその職だけで生活できるという基盤の様なものがありますが、現在の日本の音楽界ではなかなかそうもいきませんよね。

升島: いやぁ、もうそれを話すと限がないです(笑)
まずドイツのオペラ劇場が国や州からお金を援助されていて、チケットからの収入ももちろんありますが、その援助金で出演者の給料が保証されるというしっかりとした給料体制があります。それで毎日の様に何かしらの演目が開くことが出来ます。この点だけでも日本とは大きく違うところですし、もちろんそういった劇場には合唱団の組織もしっかりしていて組合もちゃんとあるし、決してないがしろにはされません。むしろ、僕の様にソロで活動する者の方が安定しませんよ。こういった話は歴史が絡んでいますので、やはり話が尽かないです。

田中: それでは、コレペティという授業も含めドイツで学び得たものの中で一番大きなものは何ですか?

升島: 授業やレッスンといった音楽の勉強から受けた刺激はもちろんですが、僕の場合は声楽家ということもあり、やはりドイツ語を習得したことは大きいです。ドイツ語が分かるようになると歌詞が理解でき、その為フィーリングを自然に得ることができるようなります。ドイツ語がまだ理解出来ない時には、歌詞も日本語訳に直したものを覚えて、強弱記号や譜面にあるヒントだけを元にテクニック的なことだけで音楽やフレーズを造っていました。しかし、言葉が分かるようになると、例えば譜面上で言葉と音楽がしっかりと一体になっている場合、どうしてここが山(フレーズの頂点)になるのかというのが、もうその言葉を喋っただけで自然に読めてしまうのです。これはドイツ語の流れというものを掴んでいるのと掴んでいないのとで大きく感覚のズレが生じるように思います。

田中: 学生を終えて、現在はプロのテノール歌手としてご活躍されていらっしゃいますが、ずばりプロになる為にはどういう手順を踏んでいくのですか?

升島: 僕の場合、リューベック音大の学部から院へいくまでの間にプロへの道を考えだしました。院にいけば授業数も減りますし、その余った時間を使ってオーディションを受けようと思い、まずは各音楽事務所へ履歴書を送り始めました。そして調度そのころ大学の短期セミナーで「声楽科専用履歴書作成セミナー」という元々音楽事務所の人事科で働いていた講師による講義があり、特に期待はせずに受講したのですが、実際受講してみると目から鱗ボロボロ。何せどの音楽事務所も実技試験の前に履歴書選考が行われるわけですから、この講義を受けていなかったら僕は今でもどこの劇場にも入れていないと思います。

田中: そのセミナーで勉強した、ドイツの履歴書を書くコツを紹介して頂けると嬉しいのですが。

升島: もちろんです。まず、日本の履歴書を想像してはダメです。履歴書を書くときの基本は『自己主張の塊』を意識して書くことです。履歴書はA4の用紙を何枚も使って作るのですが、表紙には自分の名前と声種と写真をバーンッと大きく用紙一杯に載せるのです。写真はもちろん音楽家として声楽家として、それを見た相手がいかにもうまそうな感じを抱くような写真を選びます。そこがかなりのポイント!もちろん中身も履歴やコンクール歴が良ければ申し分ないですが、ドイツ人が重視する部分と日本人が重視する部分の違いを学ぶことで、書き方や表現の仕方までが違ってくるのです。今説明したあたりがしっかりしていないと、まず箸にも棒にもかかりません。履歴書を開いてくれることもないでしょう。もちろんオーディションの招待状すら来ません。なぜなら、音楽事務所には毎回何百通という履歴書が送られてくるので、日本のようなA3の用紙にインスタントで撮った様なパスポート写真を貼り付けたものはサッと省かれるわけです。そういった厳しい状況から選ばれる為には、相手にインパクトを与える以外方法はないのです。

田中: どの音大でもそういった講義が行われているのでしょうか?

升島: どこの音大でもある講義ではなさそうです。しかもあまり頻繁に行われている風でもなく、ゼメスター中に行われる講義というよりはゼメスターとゼメスターの間の短期講習会として行われているのではないでしょうか?ドイツでオーディションを受けられる皆さんには是非受講して欲しいセミナーの一つです。

田中: 履歴書審査に通過した後、次は何をするのですか?

升島: 招待状がきた音楽事務所の実技試験を受け合格したら、事務所側から劇場のオーディションを紹介して貰います。音楽事務所は言わば劇場への派遣の役割をします。そしてその劇場のオーディションに合格して、晴れてソリストとして舞台に出る事ができるのです。給料に関しても、劇場から出た給料の何パーセントかを事務所へ支払うことになります。事務所と共に働いているイメージですね。ただ、例えばソプラノはオーディション自体があまりなく、音楽事務所に所属はしているけども2年ぐらい何の音沙汰もないという人が結構いるのも事実です。

田中: 劇場の仕事とは短期のものですか?それとも長期ですか?

升島: それはその時々で違います。最初に合格した合唱団の契約は3ヶ月でした。今現在のソリスト契約は1年です。そして1年経って連絡がなければ自動的に契約更新になるのですが、契約更新時期が迫ると、電話が掛かってくるかどうかドキドキするものです(笑)合唱団はドイツでは終身雇用でも、ソリストは契約が終われば次の契約そのまた次の契約と、常に先を考え動かなければいけません。気が休まらないですが、一度ソリストの魅力に憑りつかれたら止められないですね。

田中: 升島さんにとってのソリストの魅力とはなんですか?

升島: 己を魅せることが出来る事であり、舞台の中で華やかさを務めることが出来る事です。

田中: ソリストとして、今後の目標はありますか?

升島: 声量のある歌手たちと一緒に劇場で歌っていると、自分の声の小ささを痛感します。しかし、声を大きくすることばかりに執着すると喉を痛める可能性もあります。今の状況を冷静に見てみると、今後更に新しく何かを組み立てていくというよりは今あるものに磨きをかけていくことが大切で、僕の場合幸い今までドイツ語の発音を意識して勉強してきたこともあり、外国人だからという理由で役をもらえないことはありません。ですからその長所を更に伸ばし、自分の声質に当てはまる役柄の技術を確実に身に着けていきたいと考えています。

田中: 今日は貴重なお話をどうもありがとうございました!
最後に、今後ドイツへ来る音楽留学生や現在留学中の音楽家後進へメッセージをお願いします。

升島: ドイツに住むと、空気や生活スタイルが日本と全く違うことに驚く人も多いのではないでしょうか?嫌な辛いことももちろんあるでしょうが、皆さんにはドイツのいい所を沢山見つけて楽しんで、音楽を学ぶ力に変えてもらえたら良いなと思います。

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升島さん、貴重なお話をありがとうございました!!
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テーマ:クラシック - ジャンル:音楽

  1. 2012/10/03(水) 00:00:00|
  2. 声楽
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