BfMcompany★ドイツで活躍する日本人音楽家紹介

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第三回 村上寿昭さん

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<プロフィール>
東京生まれ。ピアノを塩野圭子氏に師事。
15歳より指揮を高階正光氏に師事。
桐朋学園大学にて指揮を小澤征爾、黒岩英臣、秋山和慶、各氏に師事。
大学在学中から、新日本フィルハーモニー交響楽団、サイトウ・キネン・オーケストラにて、その後も水戸室内管弦楽団、ウィーン国立歌劇場にて小澤征爾氏のアシスタントとして活躍。
1996、1997、2000、2004年サントリーホールオペラにてグスタフ・クーン、ダニエル・オーレン、ニコラ・ルイゾッティ、各氏のアシスタントを務める。
1997年渡独。ベルリン国立芸術大学でマティアス・フスマン教授に師事。また同時にウィーン国立音楽大学で、レオポルト・ハーガー教授、湯浅勇治氏に師事。
これまでに、ベルリン交響楽団、ハンガリー・セーゲット交響楽団、リトアニア国立管弦楽団を指揮している。
1999、2002年サイトウ・キネンン・フェスティバル松本、武満徹メモリアルコンサートを指揮。
2000年タングルウッド音楽祭にフェローとして参加し、小澤征爾、ロバート・スパーノ、アンドレ・プレビン各氏に師事。 また翌年にはアシスタントとして招待を受ける。
2001年サイトウ・キネン・オーケストラにてイェヌーファ、2002年小澤音楽塾にてドン・ジョバンニを指揮してオペラデビューを、またNECスーパータワーコンサートにて、新日本フィルハーモニー交響楽団を指揮しメジャーデビューを果たす。
2004年からはオーストリア・リンツ州立歌劇場にて、2006年よりドイツ・ハノーファー国立歌劇場にて、常任指揮者として活動中。


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きらきーら村上寿昭さんにインタビューきらきーら

【留学時代】

(現在多くの舞台で、指揮者としてご活躍中の村上さんですが、留学生時代はどのようなものでしたか?)

最初はドイツ語が話せなかったので、言葉が通じず大変苦労をしました。
日本人の先輩や親しくなったドイツ人に助けてもらいながら、日々努力し勉強をしてきたと思います。
今でも辞書を持ち歩いて、色々聞きながら生活をしていますよ。
やっぱり頑張ったと思いますよ、自分自身(笑)

(そうですね、留学初期には、とにかく生きていくことに必死ですからね。ところで村上さんは、指揮はいつ頃から始められたのですか?良ければその経緯もお伺いさせていただけますか?)

僕は14歳から指揮を習い始めました。
当時中学生だった僕は、桐朋の音楽教室の記念コンサートでマーラー8番の 子供の合唱を歌ったんですけど、その時シノーポリと高関健氏がいらして、そこで初めて彼らの指揮を見ました。

それまでずっとピアノという一つの楽器をやってきた僕は、指揮というのはものすごい大きな楽器を操っているんだなぁ。って、とてもカッコよく思ったんです。ピアノの先生に「指揮がやりたいんですけど」って言ったら、指揮の先生を紹介していただいて・・・それで本格的に指揮を始めました。


【小澤征爾先生との出会い 】

(村上さんについての記事などを拝見させていただいていますと、小澤征爾先生のお名前をよく目にします。村上さんと小澤征爾先生の出会いをお聞かせくださいますか?)

僕は桐朋の学生時代に小澤先生に出会いました。
桐朋学園の先生の一人に、「小澤先生の練習が見たい」と自分から相談してみました。そしたら、「じゃ、サイトウキネンでバイトがあるからしてみるか」と言っていただき、ライブラリーで楽譜の仕事を手伝ったりしたのがきっかけで、そこから10年間は先生がいらっしゃる所にずっとついて行きました。

最初は、先生の楽屋に行ったりして何でもいいから話したくて、セリフも全部考えて覚えていくんですけど、足なんかめちゃくちゃ震えちゃって(笑)
先生の冗談をまともにとらえて笑われたり、恋愛相談なんかもしていました。とにかく何でもお話させていただいていましたし、先生はいつも僕の言葉にちゃんと耳を傾けてくださいました。良い思い出です。 先生にはいつまでもお元気でいてほしいと、心からそう願っています。

仕事をし始めて、先生とお会いする機会もウィーンにいた頃よりグンと減ってしまいました。それに加えて、日々勉強を必死でしていても、僕一人の力では迷いや悩みが出てくることがあります。そんな時はいつも、先生の言葉や「先生はどうやってたかな」などと考えては試行錯誤しています。しかし先日、久々に先生の演奏を聴く機会を与えられたときには「自分はまだまだだけど、自分の歩んでる道は間違っていないんだ。」そう思うことができました。それと同時に、「自分にもまだまだやれることがあるぞ!」と意欲が出てくるんですよね。

それに昔から、先生のところへお伺いさせていただくと、怒られてないのに怒られた気分になるんですよね~(笑)
自分は若いんだからもっと頑張んなきゃとか思ったりして。
それで、先生にお会いした後、次に会うときまでにはもっと成長しておこうと思って頑張るんだけど、先生がさらに成長なさっていて(笑)
本当にすごい方です。

(小澤先生の勉強には終わりがなく、朝も早くから楽譜をお開きになると伺ったことがあるのですが…)

そうです。パーティーとかで前の晩どんなに皆と遅くまで騒いでも、朝はきっちり早起きされて勉強されてるみたいですよね。とにかく、先生という素晴らしい方を目の前で見て勉強することができ、自分の目標にすることが出来た。そのことを本当に幸せに思っています。

(そんな小澤先生のアシスタントをされていた時のお話をお聞かせくださいますか?)


【小澤征爾先生のアシスタント時代】

とにかく何でもしました!
先生のアパートの掃除や楽譜の整理、音楽の面でも先生にくっついて毎日を過ごし、本当に貴重な教えを賜りましたし、それだけでなく先生は僕なんかの意見にもいつもちゃんと耳を傾けてくださいましたので、とにかく良く意見し合い会話をさせていただいていました。 また、「指揮者として、人とどのように接すべきなのか?」という学びも、僕にとっては大変大きなものです。

僕、実際先生にレッスンを見ていただいたことって指折り数える程なんですよ、実は。
でも、先生がされていらっしゃることを、いつも間近に見させて頂いていた訳ですから、そこからの学びはすごく価値のあるものです。

(村上さんにとっての師は、やはり小澤先生でしょうか?)

もちろん小澤先生でありますし、現在ウィーン国立音楽大学で指揮を教えていらっしゃる湯浅勇治先生、自分が小さい頃からピアノを師事した先生、指揮を一から学ばせていただいた先生・・・とにかく自分に関わって下さった全ての方々が僕の大切な師だと思っています。

僕が今やっていることは、今述べた師から学んだことを基に自分なりに発展させてやっているだけなんです。だから失敗すると、先生方のお顔を思い出したりして(笑)

(何というか、村上さんの出会いは本当に素晴らしいですね。)

自分でもとってもラッキーだと思っています。幸せです。
あと、僕サイモン・ラトルにも出会ったんです。


【ラトルとの出会い】

ウィーンフィルの日本ツアーが、ベートーヴェン全曲というプログラムだったんですけど、幸運にも東京オペラシンガーズの第九の合唱指揮に僕が選ばれたんです。その時、ラトルと一緒に過ごした時間がものすごく素晴らしくて、僕にとって音楽家としての人生観が変わった時でした。

(それは、一体どのようにですか?)

その前にニューヨークテロの911がありましてね、僕はその1ヶ月前くらいまでニューヨークにいたんですよ。もう、ものすごくショックでした…。
その時、音楽家たちが「こんな時だからこそ音楽をしよう!」といって演奏活動をしていたんですが、僕はショックがあまりにも大きくて…「何で音楽やってんだろう」なんてことまで考えた時期だったんです。

そんな時、ラトルに出会いました。

彼はね、「音楽は愛だよ」って言うんです。
僕が言うとクサイくなっちゃうんですけどね(笑)
音楽に対する愛情。作品に対する愛情。一緒に音楽をする者への愛情。聴いてくださるお客さん一人ひとりに対する愛情。それから、僕みたいな若者に対する愛情。

その時のサントリーホールでの演奏は、実に素晴らしい演奏でした。
僕も含めて沢山の方が涙していた。すごい拍手だったし、良い演奏をするとこれだけの人に感動を与え、良いエネルギーを造り上げることが出来るんだ!と肌で感じました。

そこから、人間愛とか一期一会といったものを心掛けるようになったんです。
僕も人間ですから、難しい時もありますけどね(笑)

(村上さんとお話させていただいて、すごく活動的でいらっしゃるなと感じるのですが、どこからそのパワーが出ていると思われますか?)

やっぱり、色んな人と出会って、特に音楽家でない人に出会った時に、自分が大好きな音楽を伝えたい!!って思うんです。それかな?(笑)

(それは村上さんの人との関わり方にも通じるように思いますが、どうですか?)

指揮者にとって、人への接し方は特に大切ですよね。でもそういった面においても、先ほどお話した各師に教えて頂いたと思います。
まだまだ、僕も下っ端ですからね~ 。だから、日々勉強です! 頑張ります!

(今日は、貴重なお時間をありがとうございました。それでは最後に、これからの音楽留学生へのメッセージをお願します。)


【これからの音楽留学生へ】

ドイツはとっても恵まれた国です。
日本の本屋さんもあるくらいだし、日本人も沢山いるので日本語も好きな時に喋れますしね。 だけど、音楽家として生きていくのは本当に大変なことです。
音楽が好きだという気持ちは一番大切だけど、それに加え自分が生きていくことも考えなければいけません。

今は環境自体がすごく恵まれたものになっていると思うんです。
費用がありタイミングが良ければ、それだけで留学するチャンスを誰もが持つことができます。もちろん、それは物凄く幸せなことですよね。でも、その幸せな環境を充分に利用出来ている人はどれくらいいるのかなぁ~、とふと考えることもあります。得に、しっかりとした夢や志を持って留学して来られる方が徐々に減っている気もしないではありません。もちろんそうではない多くの学生が、この地では一生懸命頑張っていますので、刺激を与えられることも多いですけどね。だからこそ、前者に対しては否定の気持ちと言うよりも、「もったいないなぁ」という残念な気持ちになるものです。

僕はね、本当に音楽が大好きです。
その音楽というものは、競争の世界では決してない。自分が楽しみ、聴いてくださっている方々を楽しませるものです。

そもそもの音楽の捉え方を自分なりにしっかりと持った上で、夢や志を大切に勉強を続けていかれることを願っています。

『素晴らしい力を持つ音楽に、純粋な気持ちで向き合っていく』
そんな音楽家でいたいものですね。


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村上さん、貴重なお話をありがとうございました!!



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テーマ:クラシック - ジャンル:音楽

  1. 2012/04/01(日) 00:00:00|
  2. 指揮
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